20万打企画 Vol,36









His name branded on my memory.









今共に人生をすごそうとしている人に不満があるわけじゃない。

彼と居るとき、私はいつも笑顔でいられる。

彼はとても私を大切にしてくれている。

だからその気持ちに答えたいと想うし、受けとめたい。返さなきゃ、とも想う。









「空」

名前を呼ばれる。少し低い男の人の声。

なに? と私は返す。

最近気づいたことは、私は必要最低限彼の名前を呼ばない。

もしうっかり口を開いて、間違えてしまったら全てが崩れてしまうから。









私の記憶に焼き付いた彼の名。




八神 太一









幼馴染みで、私が一生で1番愛した人。

好きで好きで、もう言葉にできないほど大好きだった人。

けれど、夢を追いかけて旅立ってしまった・・・最後まで、私の憧れの人。









「空」

彼は私を抱きしめながら名前を呼ぶ。

私はそれに答えるように、自分からも彼に抱きつく。

けれど、身体が訴えかけてくる違和感。

香りが違う。

求めている腕の中ではない、ここは。

そんな訴えを私は必死に押し込める。いつまでも、そんなワガママを言っていちゃいけない。









太一が私に別れを告げたのは今から3年前。

高校の卒業の日、はっきりと言われた。

自分は夢を追いかけてブラジルに行く。

だから、別れよう。

私はどう答えていいか解らなくて、でも太一の中では答えは決まっていて。

ただ「頑張ってね」と伝えることしかできなかった。









あの時、もし待ってると一言太一に伝えられたら・・・

何度も後悔した。泣いて、泣いて、後悔して、追いかけようかとも想った。

けれど気づいたの。

それは私の独りよがりで、太一には重荷にしかならないって。

きっと太一は私のことを考えて別れよう、って言ってくれたんだと思う。

けれどその気持ちのどこかで「束縛」からの開放感を求めていたのかもしれない。









八神 太一









きっと私の頭の中から一生消えない名前。

そしてできることなら、もう2度と逢いたくない人。

私たちは来月、結婚する。お腹の中には子供もいる。

だから、私はこのワガママを早く完全に封をしなければいけない。

自分で選んで、進んでいる未来だから。

この人についていって、この子を産んで、一人前の母になると。

全部自分で決めた、未来だから。









「ねぇ」

「ん?」









「大好き」




彼に告げるこの言葉に、偽りの色が1%も無いように。

私は大切な幼馴染みの名前を心の奥底に封印する。

無駄なことだと想いながらも、何度でも何度でも。好きという言葉で彼の名を消し潰す。

もう2度と この名を呼ぶことなどないのだから。



おり文:耳に響くあなたの名前 もう二度と聞くこともはっすることもなく
痛いお話しでした。そんな未来があってもいいかと(全くよくねぇよ!
この後太一が帰って来ちゃってあんちゃらかんちゃらってもめるのもまた良い。ぇ
結局太空前提です。すみません。当然です!どーん