20万打企画 Vol,35









Breathe words of love.









「そーかなー・・・」

「え?」

休日の午後。部活が終わってしまった3年生の太一と空は

こうして彼の部屋で何をするわけでもなく、一緒に時間を過ごすことが多くなっていた。

初めは受験に向けての勉強も兼ねていたのだが

無事進学先が決まった2人は、前ほどせっぱ詰まって勉強する必要もなくなり

今は自由に時間を過ごしていたのだった。









「というか、太一。何読んでるの?」

空はひょっこりと顔を覗かせた。

持っていた雑誌は床に起き、彼が先程から熱心に視線を向けていた本をのぞき込む。

「マンガ?」

「ちげーよ。普通の本。ヤマトにかりたんだ」

太一がマンガ以外の本を読むなんて珍しいわね。と空が笑うと

俺だって本くらい読むぞ! と太一はムッとした。

「それは、夏休みに読書感想文の宿題があるからでしょ?」

「ちっ! ばれたか」

どれだけ長い間一緒にいると思ってるのよ、と空は苦笑する。

太一はぱたん、と持っていた本をとじた。









「それで? 何が“そーかなー”なの?」

「ん?」

あぐらをかいている彼の脇で、空は正座をする。

足崩していいんだぞ? と以前太一は彼女に言ったが、この方が落ち着くと空は笑った。

「言葉ってさ、重要なモノほど易々と口にしない方がいいって書いてあったんだけどよ」

「うん。それはわりと、よく聞く話よね」

何度も何度も、簡単に言葉を連呼してしまったら。

その言葉本来の重みが少しずつ薄れていってしまうから。

だから伝えたい言葉は『その時』がくるまで大切にしておくこと。

とても大切で、とても重たい言葉になるから。









「とまぁ、そんなことが書いてあったんだが」

「うん」

「俺はあんまそうはおもわねーなーと思ってさ」

「? なんで?」

「だってさ、たとえば“好き”とか。俺いつもお前に思ってるから、いつでも伝えたいと思うぜ?」

瞬間、空の顔が赤くなる。

太一はそれに気づき、可愛いよなお前、と彼女の頬に触れた。

「太一が突然変なこと言うから・・・!」

「変な事じゃねぇって。本当のことだ」

確かに彼にとっては本当のことなんだろうけれど。

けれど、不意打ちはずるい。とっても、ずるい。









「それにさ、俺何度でも言われたいとおもうぜ? 空に」

「・・・意味もなくいわないわよ」

「意味、なくねーだろ? 好きだって思うから、好きだって言うんだ」

「好き好きって連呼しないでよ・・・」

空の声が少しずつ小さくなっていく。

「そう思ってるんだから仕方がねーだろ? なぁ、やっぱ何度も繰り返すと気持ち感じなくなるもんか?」

純粋な疑問。

太一の瞳を見て、空は先程繰り返された言葉への恥じらいを感じながらも

ゆっくりと、口を開いた。









「そんなこと、ないと思う」

「空?」

「何度口にしても、言葉を伝えても、そこに気持ちがあるならそれでいいんじゃないのかしら?」

「うん、俺もそう思う」

「それにね・・・」









膝をゆかにつき、空は身体を少しだけもちあげる。

そしてそっと、太一の耳に囁いた。









“太一に好きって言われるの、嫌いじゃないよ”









その言葉に、当然太一は満面の笑みを浮かべた。

空の頬に口づけを落とし 彼女を抱き寄せ

愛の言葉を囁く 彼の気持ち全てをこめて



おり文:繰り返される言葉全てに こめて送るよ 君への愛
お腹すいたなぁ・・・(ぇ
最近どうも思いつく話し全て太一のお部屋です。あの窓が好き!