20万打企画 Vol,27









She will make him a good bride.









ここは結婚式場、の近くにあるウエディングドレスの貸し出し場。

数時間悩み、悩んで、更に悩んだミミがやっと選び抜いたドレスをそのみにまとい

今、更衣室から姿を出した。









「うわー! ミミちゃん、すっごく似合ってるわ」

「あぁ、そのドレスにして大正解だな」

彼女のドレス選びにつき合っていた太一と空は、口々に彼女のドレス姿を褒める。

そのたびにミミは嬉しくなりポーズを決めたりしていた。

しかし、肝心の彼が何も言ってくれない。









「ヲイ、光子郎。お前も何か言うことあるだろ?」

ひじでつつきながら、太一が小さな声で光子郎に呟く。

彼はというと・・・放心していた。









「光子郎くん。ミミちゃん、光子郎くんからの言葉を待ってるのよ?」

「いや、あ、はい。すっごく似合ってますよ」

「もー! もっと他に言うことないのー?!」

ぷんぷん、と絵に描いたような可愛らしい怒り方をするミミに光子郎はすみません、と謝る。









「ミミちゃん、怒っちゃダメ」

「空さん?」

光子郎から聞きたかった類の言葉がもらえずに機嫌を損ねるミミだったが

彼女の手をそっと空が両手で包み込む。

「ウエディングドレスはね、着ている花嫁さんが世界で1番幸せになれるの。

その花嫁さんがすっごく幸せで、嬉しくて、笑顔が溢れるから。だから何よりも素敵なドレスに見えるのよ」

だから怒っちゃダメ。だいなしになっちゃうでしょ? と空はミミに言う。

「・・・はい」

「うん。でもミミちゃん、本当によく似合ってる。センスあるもんね、ミミちゃん」

「あぁ。だから、似合いすぎて驚いてるだけだって、こいつ」

太一がイキナリ光子郎に話題をふるが、光子郎はどう対応していいかわからなかった。

その行動が、太一が今言った言葉が事実であることをミミに伝える。









「うん・・・ありがとう! 空さん、太一さん!」

「幸せな花嫁さんになってね」

「はい! ところで、空さんは着ないんですか? ウエディングドレス」

『え?』

空と太一の声が、ピッタリ綺麗に重なった。









「折角なんだし、空さんも着てみてくださいよ! ただだし!!」

「私は、別に・・・」

「いいじゃないですか! 私が選んであげる。空さんは肌が白くて髪が綺麗で・・・」

数時間前の、彼女自身が着るドレスを選んだときよりも浮かれているように見えるのは気のせいだろうか。

既にその気になり、空の衣装を選び始めるミミを見ながら3人は同じ意見を抱いた。









「私、そんなつもりでついてきたわけじゃなかったんだけれど」

嬉しそうにドレスを選び始めたミミを見ると、強く断ることもできず。

どうしよう、と助けを求めるように空は太一と光子郎の元へやってきた。

「いーじゃねーか。空も着てみろよ」

「そうですよ。折角ですし」

彼らも、空のウエディングドレス姿を見たいと想った。

当然太一には“必ず”空のウエディングドレス姿に出逢える日がやってくる。

しかしその前に1度だけ。予行練習感覚で、着てみるのも悪くないはずだ。









「そーらさん! 早く着てきて!」

「ほら、選び終わったみたいだぞ」

「行ってらっしゃい、空さん」

2人に背を押され、満更でもなくなってきた空は「う、うん」と返事をしミミの元へと向かった。









「太一さん、嬉しいのと悔しいのが半々でしょう」

「は?」

「空さんのウエディングドレス姿が見られるのは嬉しいけれど、

ボクも一緒にそれを見てしまうのが悔しいと顔に書いてあります」

光子郎は笑いながら、太一にそう告げる。

太一はふいっと顔を逸らした。

「んなことねーよ!」

「強がらないでくださいよ。ボクも、本番がきたとき太一さんにぐちゃぐちゃ言われるのは嫌ですからね」

「別に、いわねぇよ」

しかし光子郎の言葉は、太一の本音そのものだった。

うそがつけない彼は、表情にそれがでてしまう。









「ミミさーん! 空さんに衣装を着せ終えたら、ミミさんだけ先にでてきてくださーい」

「わかったー!」

その手のことに鋭いミミは、すぐさまその意味を察し、返事を返した。

「お、おい光子郎!」

「今日つき合ってくださったボクからのお礼です」

そう言って光子郎は、戻ってきたミミと一緒に別室へと行ってしまった。









「たっく、光子郎のやつ。おーい、空ー! もう出てきていいぞー!」

文句を言いながらも、心の中で光子郎に感謝している。

きっと彼は、それに気づいている。

「えっと太一・・・」

「んー?」

「似合わなくても、笑わないでね・・・?」

おどおどした言葉で空は言う。不思議に思った太一は、んなことするわけねーだろー! と返した。

するとゆっくりカーテンが開かれた。

現れた彼女は・・・









「そ、ら・・・?」




「他に、誰が居るのよ・・・」









今日はミミと光子郎の結婚式のためのドレスを選びに来ただけだった。

折角の休日で、空と2人でデートができるはずだったのに潰れてしまった。

正直、あまりいい気分ではなかった。

しかし太一は今、目の前に立っている彼女を見て言葉を失った。









純白のドレス。綺麗なレース。白い肌が強調されているつくり。

空の華奢な身体が露わになる。細い腕と、小さな方がドレスの隙間から顔をだす。

薄く化粧をし、髪に飾られているティアラ。

ホンモノの、花嫁だった。









「すっげぇ・・・似合ってる」

「あんまり見ないで。恥ずかしいから・・・」

空は本当に恥ずかしいのだろう。

耳までまっ赤にし、俯いた。

「恥ずかしくなんてねーよ」

太一はゆっくりと、彼女に近づく。

「本当に、似合ってる」

彼の指が、ゆっくりと空の髪に触れた。

2つにまとめられた髪が、ドレスを更に際立てている。









「空、オレのお嫁さんになって下さい」

「え・・・?」

彼女の左手を手にとって、薬指に唇を重ねる。

「本当は、ちゃんと用意してから言うつもりだったんだけどな」

「え、あの・・・」

「空があんまりにも綺麗だから、我慢できなくなった」

彼女の自分と、自分の指を絡める。

「空の返事、聞きたいな」

その手は離さないと、空を捕らえる。









「はい」




私を、太一のお嫁さんにしてください。

空の返事に太一は最高級の笑顔を浮かべる。

空も同じように微笑む。









あぁ、そうか。

だからウエディングドレスが、こんなにも綺麗に見えるのか。

花嫁が幸せだから、空が幸せだから。









「空・・・」

絡めた指に少しだけ力を入れて彼女を引き寄せる。

流れに身を任せ、太一は空との距離を縮めた。

誓いの口づけを交わそうとしたその時。









「太一さん。そっから先はお二人だけで来たときにしてください」

「あーもぉ、光子郎くんのバカ! チューするとこまで見てから入ろうって言ったのに!!」

気を使って違う部屋に行ってくれていた光子郎とミミが戻ってきた。

太一と空は驚いてそのまま固まってしまう。

互いの距離が少しだけ広がった。









「光子郎・・・おまえ・・・!」

「お邪魔してしまったことはあやまります。けれど、これ以上のぞき見するのも悪いと想ったので」

「のぞくな!」

先程の放心っぷりはどこにいったのか、光子郎はもういつもの光子郎だった。

「空さんがさっきいっていた意味、すっごくよくわかりました」

「え?」

ミミは誰よりもはしゃいでいた。跳ねるように空の傍にやってくる。









「空さんが本当に幸せだから、ウエディングドレスがすっごく素敵」

「・・・ありがとう、ミミちゃん」

もしかしたらそれは、花嫁への最高の言葉なのかもしれない。









空は太一のよいお嫁さんになるだろう。

光子郎とミミは、のぞき見している間だ2人でそう言って、笑った。

自分達も負けないくらい、幸せになろう。と









「けどまぁ、太一さんに空さんってのは少しもったいない気がしますが」

「おい、光子郎」

「空さんすっごく似合ってます。式場で見られる日を、楽しみにしてます」

「ありがとう。光子郎くん」

「オレを無視するな!!」

騒ぐ太一。微笑む空。ちゃかす光子郎と、はしゃぐミミ。

ここに来る人達は、笑顔が耐えない。みな誰もが、未来への期待を胸に抱いているから。



おり文:花嫁になったその瞬間 女の子は世界中の誰よりも幸せになる
初めて光ミミ書きました、今日和幻桜です。個人的にすごく気に入っているお話しです。
太一のプロポーズはもっとマジメでも良いと思いますが、こんなのも有りだと想います。
自分に画力があれば空のウエディングドレス姿とか書いて挿し絵にしたいのに・・・!!涙