20万打企画 Vol,24










He gently caressed her.









こんな時はいつかくるんだろうな、と何となく気づいていた。

つきあうということの先には、つまりそういうことだってあるわけで。

それがイヤだと想ったことはない。

怖いと想ったことも。

それは多分、彼が精一杯気を遣ってくれていたから。

私にはよくわからないけれど、多分ずっとずっと我慢してくれてたんだと想う。

私が心の準備がつくまで。









キス、をしたのは何度目だろう。

本当に時々だけど、今では私からそれをするようにもなった。

…本当に本当に時々だけど。希にだけど。

でもその行為には慣れて…それより少し先の行為にも慣れてきたと想う。

慣れる、というのはつまり。

それが嬉しい行為であると感じられるようになってきたってこと。

だって恥ずかしいのは、初めての時も今も変わらない。

ドキドキなっている心臓の音も、鼓動の早さも変わらない。

それは私が、彼のことを愛しているという証拠。







だけど、だから、かな?

今日の彼が普段と違うことに気づいた。

口づけてくる彼から、少しだけ余裕が無くなっていた。

私を抱きしめる腕に込められた力がいつもより強かった。



そしてゆっくりと、ベッドに押し倒された。



あ、今なんだ。

脳裏にすっとかすめた行為の背景。

噂で聞いたことのある数々の経験談。

痛いよ、とか。

最初は気持ちいいとか感じる余裕もないよ、とか。

終わった後

凄く幸せなキモチになれるよ、とか。

それはあくまで人から聞いた話であるけれど、それ以外参考になるものはない。

そしてそんなことを冷静に考えている自分になんだか少し寂しくなった。








「空」

ふいに彼が私の名前を呼ぶ。

見上げるとそこにはなんだかとても不安そうな顔をした太一がいた。

そんな顔しないでよ。

私まで、不安になるじゃない。

そういう思いを込めて…嫌じゃないと伝えなければと想って

私は腕を伸ばして彼の頬を包み込み、ゆっくりと口づけた。








気の利いた言葉はわからない。

今彼が1番欲している言葉が何かはわからない。

ただ私にできることは


あなたを受け止めることだけ。だから…




「いいよ、太一。私は、いいよ」



太一はゆっくりと目を閉じて、次に開いたときは

試合中のボールだけを視界にとらえている時と同じまっすぐな視線を私に降り注いだ。








「空」

唇に。

首筋に、肩に、うなじに、そして…胸に。

キスの嵐はゆっくりと衣服を乱して降りてくる。

急に私は怖くなって…ううん、きっと違う。恥ずかしくなっての方が正しいかもしれない。

太一の顔を直視するこことも、自分の顔が見られることもとにかく嫌でそっと顔を反らした。



恥ずかしい

怖い

私は何をすればいい?

何もしなくていい?

ただ、太一を感じていればいい…?



太一の私より温度の低い手のひらが、先ほどまで彼が唇を当てていた場所にふれる。

ビクッと私は身を縮めた。

冷たさに驚いたのか。

触れられたことに驚いたのか。

そんなことすらわからないほど、私はいっぱいいっぱいになっていて。


彼が苦笑したことも知らなくて。

その手のひらが再び触れたのは…私の髪だった。



彼は優しく私を愛撫した。

私の髪を、大切なものを扱うようにそっと触れて。




そしてゆっくりと、乱した衣服を…ブラウスのボタンを戻し始める。







「た、いち?」

「おまえさー…」

苦笑しながら…少しだけ傷ついた表情。

「拳はねーだろ、こぶしは。そんなにビビってる奴にできるかっての」

言われて私は気づいた。

無意識のうちに、自分が拳を握りしめていたことを。

ごめんな、と太一は私を起こして抱きしめる。

優しく背中をたたいてくれる大きな手のひら。

さっきまで…少しだけ怖かった男の人の手。







「ごめ、んなさ…」

あれ、私泣いてるの…?

やだ、ずるい。こんなのずるい。

太一の優しさに甘えてるだけじゃない。

「謝らなくていいって。俺の方こそ、ごめんな? まだ早かったよな」

私が泣いていることに気づいてるだろう太一はあえてそれには触れず。

優しく抱きしめたまま一定のリズムで背中をたたくだけ。

「ゆっくりでいいからさ。無理、しなくていいから」


だから頼む。

俺におびえるのだけは勘弁な?


こつんとおでことおでこをぶつける。

太一が歯を出してニカッと笑った。

それはいつも、彼が喧嘩の終止符として見せる笑顔。




「…う、ん!」

「よし、おっけ。んじゃゲームでもすっか」

この間光司郎に借りたゲームがさと太一はベッドから降りようとする。

私は無意識のうちに…多分反射的に。

離れていくその腕を捕まえて、そして驚いて振り向いた太一の口にキスをする。

それはさっきまで彼が私にしてくれていた愛の形。





「本当にごめんね。

太一が大切にしてくれてること、ちゃんと気づいてるから。

だから、もう少しだけ待ってて」



きょとんとして。

そして顔を赤くして。

それを見られないように背けて自分の手で押さえる。


私がくすくすと笑うと、あの大きな手が再びやってきて

「わーらーうーなー!」と私の髪をくしゃくしゃと撫でた。

それはとても気持ちがよくて、私はさらに笑ってしまった。




おり文:君が安心できるまで僕は待つから どうか僕を信じてほしい
某ドラマからネタをいただきました。やっと女の子視点でお話がかけたとほっとしてます。
こういう微エロチックな雰囲気のお話は書くのも読むのも好きすぎです。
微エロ作家ってあだ名がついたら私は多分大喜びします。そういう子です。笑
ていうかですね。前回の更新5月6日って酷すぎです本当にごめんなさい…!!!